AIとの対話をスムーズにする記法
AIに画像やコードを生成させる際、指示(プロンプト)の構造化は生成の精度を劇的に向上させます。LLM(大規模言語模型)や画像生成AIのフロントエンドは、単なる文章よりも属性(キー)と値(バリュー)の関係性が明確なテキストを好みます(CSSの書き方と同じです)。
文章でダラダラと書くと、AIは「どの修飾語がどの名詞にかかっているのか」を見失う(トークンのアテンションが分散する)ことがありますが、一般に「構造化記法」と呼ばれる書き方で、指示内容を構造化することで以下のメリットが生まれます。
構造化記法には、YAML記法、Markdown記法、JSON記法などがありますが、以下、一般論に加えて、代表的な YAML記法とMarkdown記法 、それぞれについて概説します。
どの記法を使うにしても、以下の4つの要素が整理されていると、AIは迷わず正確な出力を返します。
YAMLは人間にとって最も読みやすく、かつAIにとってもネスト(階層構造)を理解しやすい記法です。特に画像生成AI(MidjourneyやStable Diffusionなど)への指示や、コード生成の前提条件定義で威力を発揮します。
Target: Subject: A boy on a horse Action: Standing on a hill, looking at the sunrise Visual_Style: Art_Style: Japanese anime style Lighting: Volumetric golden hour light Composition: Medium shot, low angle Technical_Settings: Aspect_Ratio: 16:9 Quality: High, 8k resolution
Wikipediaの編集、GitHubリポジトリの ReadMeファイル等でも利用される汎用的な書き方です。命令、前提条件、出力フォーマットの区別が視覚的に明確になる点がその強みで、各種プログラミングにおけるコード生成に向いています。
#(見出し)や -(箇条書き)、```(コードブロック)を使うMarkdownは、コード生成AI(ChatGPT, Claude, Geminiなど)に対して最も自然で強力に機能します。AI自体がMarkdownのパース(解析)に極めて最適化されているためです。
いわゆる「要件定義書」を作るイメージでMarkdownを使うと、正確なコードが生成されます。特に「# 制約事項」などとして、制約条件や禁止事項などを明記すると、手戻りが減ります。
サイトマップとワイヤーフレームをAIに読み込ませて、フォトギャラリーサイトのプロトタイプ(HTML/CSS/JSコードやUIデザイン)を出力させるためのプロンプトサンプルです。
# 指示 添付したサイトマップとワイヤーフレームを元に、 レスポンシブ対応のフォトギャラリーサイトのプロトタイプを HTML / CSS / JavaScript のコードとして出力してください。 サイトは、シングルページ(index.htmlのみ)とします。 ## 1. サイトの概要 * サイト種別: フォトギャラリーサイト * 目的: ポートフォリオとしての作品展示および自己紹介 * デザインのテイスト: モダン、ダークモードベース ## 2. 入力素材(添付画像)の説明 1. サイトマップ: 全体構造とセクション間の遷移を示しています。 2. ワイヤーフレーム: ページのレイアウト構成を示しています。 ## 3. プロトタイプ作成の条件 * 言語・技術: HTML, CSS, JavaScript * レスポンシブ対応: PCとスマートフォンの2種類に対応 * ダミーデータ: 写真画像は無料素材リンクを差し込んでください。 * インタラクション: 画像クリックで拡大、Lightbox(CDN)機能の実装 ## 4. 求める出力ファイル 1. index.html: ページの構造 2. style.css: スタイリング・レスポンシブ設計 3. script.js: 動的な挙動・モーダル等
上記のプロンプトを Gemini に依頼しました(2026.07)。以下、実際に使った添付ファイルと、生成されたサイト(.zip)です。
AIは技術的な用語を定義どおりに解釈して、出力につなげます。したがって、あなた自身が、その技術に関する正しい基礎知識を持っていないと、正しい出力は得られません。「下請け」に指示を出せるだけの経験があれば、あなたの作業は大幅に効率が上がりますが、そうでない場合は、生成されるコードは混乱を極め、修正作業は泥沼化します。
実際のプログラミングの仕事では、小さなバグも許されません。あなたにそのバグを取るだけの知識があるか、あるいは、AIにその修正をさせるだけの指示能力があるか、自身の力量をわきまえて利用する必要があります。
便利なテクノロジーは、その利便性を上回るリスクを抱えています。AIの利用は、あなたの理解が及ぶ範囲で、また、あなたが責任を取れる範囲で・・というのが賢明です。