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陳芸哲/第3章 の履歴(No.2)


第3章 ユーザー調査と課題抽出

陳芸哲/論文構成

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3.1 調査概要

本研究では、爬虫類・両生類・カメ類などのエキゾチックアニマルを飼育するユーザーのニーズを把握し、飼育における課題を明らかにすることを目的として、アンケート調査およびインタビュー調査を実施した。また、飼育者だけでなく、爬虫類専門店の経営者にもインタビューを行い、飼育者と専門家の両方の視点から、飼育管理に関する問題点と必要な支援機能について検討した。

調査では、飼育者の基本属性、飼育経験、日常的な管理方法、飼育中に感じる問題、既存の情報収集方法、アプリに対するニーズなどを主な調査項目とした。さらに、インタビュー調査を通じて、アンケートの選択式回答だけでは把握しにくい具体的な経験や意見を収集した。

本研究で実施した調査の概要を以下に示す。

調査方法対象・規模主な調査内容
アンケート調査有効回答68件飼育状況、管理方法、飼育上の課題、アプリ機能へのニーズ
飼育者へのインタビュー調査8名日常的な飼育管理、情報収集、困難な経験、必要な支援
爬虫類専門店経営者へのインタビュー調査1名初心者から寄せられる質問、飼育上の問題、情報提供と管理支援の必要性

アンケート調査は2026年5月に実施し、知人やオンラインコミュニティなどを通じて回答を収集した。飼育者へのインタビューはオンライン形式で実施した。また、2026年8月19日には、中国海南省海口市にある「阿泽的爬宠乐园(国贸店)」の経営者にインタビューを行い、専門店の立場から飼育者が抱える問題について聞き取りを行った。

これらの調査結果を相互に比較することで、飼育者自身が認識している問題と、専門店の立場から見た問題との共通点を整理し、アプリのUI・UX設計に必要な要件を抽出した。

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3.2 アンケート調査


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3.2.1 調査対象の基本属性

アンケート調査では、68件の有効回答を得た。回答者の年齢、居住地域、飼育経験、飼育している動物の種類などを集計し、調査対象の特徴を把握した。

年齢構成については、20~25歳が48名で、全体の70.6%を占めた。次いで、26~30歳が9名(13.2%)、16~19歳が6名(8.8%)、31~40歳が5名(7.4%)であった。この結果から、今回の調査では20~25歳の若年層が中心となっていることが分かった。

居住地域については、中国が55名(80.9%)、日本が11名(16.2%)、その他の地域が2名(2.9%)であった。そのため、本調査の結果は中国の回答者の意見を比較的強く反映している。日本の飼育者を含む多様な利用者のニーズを十分に把握するためには、今後、調査対象をさらに広げる必要がある。

飼育している、または関心を持っている動物の種類については、複数回答を認めた。カメ類が26件、トカゲ類が24件、魚類が16件、両生類が11件、ヘビ類が10件であった。また、犬・猫などのその他の動物を飼育している回答者や、今後飼育したいと考えている回答者からも回答が得られた。

飼育経験については、1~3年が25名、1年以下が18名、3年以上が14名であった。また、現在は飼育していないものの、今後飼育したいと考えている回答者が11名いた。これらの結果から、今回の調査には、飼育を始めたばかりの人から、一定期間の飼育経験を持つ人まで、異なる経験段階の回答者が含まれていることが分かった。

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3.2.2 日常的な飼育管理の状況

次に、飼育者が日常的にどの程度ペットの状態を記録し、飼育環境を確認しているかについて分析した。

ペットの健康状態や飼育状況の記録頻度については、「よく記録する」が18名、「時々記録する」が34名、「ほとんど記録しない」が16名であった。「時々記録する」と回答した人が最も多く、日常的な記録を継続して行うことが、すべての飼育者にとって習慣化されているわけではないことがうかがえる。

温度や湿度などの飼育環境の確認頻度については、「毎日確認する」が36名、「時々確認する」が23名、「ほとんど確認しない」が9名であった。温度や湿度の確認を毎日行う回答者が多い一方で、確認頻度には個人差があることも明らかになった。

エキゾチックアニマルの飼育では、動物の種類に応じた温度、湿度、照明、給餌などの管理が必要となる。しかし、飼育環境の確認や健康状態の記録を個人の記憶や手作業に頼る場合、確認漏れや記録の継続が難しくなる可能性がある。

そのため、飼育者が日々の管理状況を簡単に記録でき、必要な情報を一か所で確認できる仕組みが求められると考えられる。

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3.2.3 飼育者が抱える主な課題

アンケートでは、飼育中に感じる問題についても調査した。複数回答による集計結果を以下に示す。

飼育上の課題回答数
病気や体調不良の判断が難しい52
温度・湿度の管理が難しい46
必要な情報が複数の場所に分散している41
動物を診てもらえる病院を探しにくい39
同じ種類のペットを飼育する人と交流しにくい31
給餌や清掃などの管理を忘れてしまう24

最も多かった回答は、「病気や体調不良の判断が難しい」であり、52件であった。飼育者は、動物の様子に変化が見られた場合、それが病気によるものなのか、温度や湿度などの飼育環境によるものなのかを判断することに難しさを感じていると考えられる。

次に多かったのは、「温度・湿度の管理が難しい」の46件であった。エキゾチックアニマルは種類によって適切な飼育環境が異なるため、飼育者がそれぞれの動物に必要な環境条件を理解し、継続的に確認することが重要である。

また、「必要な情報が複数の場所に分散している」が41件、「動物を診てもらえる病院を探しにくい」が39件であった。この結果から、飼育に必要な知識を得ることだけでなく、信頼できる情報を見つけ、必要なときに適切な医療機関へアクセスすることにも課題があると考えられる。

さらに、同じ種類のペットを飼育する人との交流や、給餌・清掃などの日常的な管理についても問題が挙げられた。したがって、飼育者に必要なのは情報を提供する機能だけではなく、日々の管理を継続しやすくする仕組みや、他の飼育者と経験を共有できる環境であると考えられる。

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3.2.4 アプリに求められる機能

続いて、飼育者がエキゾチックアニマル向けアプリに求める機能について、5段階評価の平均値を用いて整理した。

機能平均評価
異常通知機能4.9
温度・湿度のリアルタイム確認4.8
健康記録機能4.7
飼育知識の提供4.6
動物病院の検索4.5
遠隔カメラ機能4.3
コミュニティ機能4.0

最も高い評価を得たのは、平均4.9の「異常通知機能」であった。次いで、「温度・湿度のリアルタイム確認」が4.8、「健康記録機能」が4.7であった。この結果から、飼育者はペットの状態を確認するだけでなく、異常の可能性に早く気づき、日常的な管理を適切に行うための支援を求めていることが分かる。

また、「飼育知識の提供」と「動物病院の検索」も高い評価を得た。これは、飼育者が日常的な管理方法を学ぶことに加え、体調不良などの問題が発生した際に、必要な情報や相談先を見つけられることを重視しているためと考えられる。

遠隔カメラ機能についても一定の需要が確認された。一方、コミュニティ機能の平均評価は他の機能より低かったものの、4.0という評価であり、他の飼育者との情報交換が不要であることを意味するものではない。

アプリの利用意向については、「非常に興味がある」が41名、「使ってみたい」が21名、「機能によっては利用したい」が5名、「利用したいと思わない」が1名であった。以上から、回答者の多くがエキゾチックアニマル向けアプリに対して肯定的な関心を示していることが分かった。

ただし、これらの結果は今回の調査対象者に基づくものであり、すべての飼育者に同様の傾向があると断定することはできない。

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3.2.5 アンケート調査のまとめ

アンケート調査の結果から、エキゾチックアニマルの飼育者は、主に健康状態の判断、飼育環境の管理、情報収集、動物病院の検索などに課題を抱えていることが明らかになった。

また、アプリに求められる機能としては、異常通知、温度・湿度のリアルタイム確認、健康記録などが高く評価された。これらの結果から、飼育者の負担を軽減するためには、飼育に必要な情報を整理するとともに、日常的な管理と健康状態の把握を支援する機能が重要であると考えられる。

一方、アンケート調査だけでは、回答者が実際にどのような場面で困難を感じているのか、また、問題が発生した際にどのような行動を取るのかを十分に把握することは難しい。そのため、次節では飼育者および爬虫類専門店経営者へのインタビュー調査を通じて、具体的な経験や意見を分析する。

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3.3 インタビュー調査

アンケート調査で確認された課題をさらに詳しく把握するため、本研究では飼育者へのインタビュー調査と、爬虫類専門店経営者へのインタビュー調査を実施した。

飼育者へのインタビューでは、日常的な飼育管理や情報収集の方法、飼育中に困った経験、アプリに期待する機能などを確認した。一方、専門店経営者へのインタビューでは、初心者から寄せられる質問や、飼育環境の管理、健康状態の判断、情報提供に関する課題について聞き取りを行った。

両者の意見を比較することで、個々の飼育者の経験に基づく問題と、飼育相談の現場で繰り返し見られる問題を整理した。

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3.3.1 飼育者へのインタビュー調査

飼育者へのインタビュー調査は、オンライン形式で8名を対象に実施した。主な調査項目は、飼育している動物の種類と飼育経験、日常的な管理方法、飼育情報の収集方法、健康状態の判断に関する困難、アプリに求める機能などである。

インタビューでは、飼育者が日々の管理をどのように行っているかだけでなく、困ったときに何を参考にし、どのように解決しようとしているかについても確認した。

(1)健康状態の判断に関する課題

飼育者の意見からは、ペットの体調に変化が見られた際に、その原因を判断することが難しいという問題が確認された。動物の行動や食欲などに変化があっても、病気によるものなのか、飼育環境が適切でないことによるものなのかを判断するには、一定の知識が必要となる。

特に、飼育経験が少ない人にとっては、普段の状態と異常な状態の違いを把握することが難しく、どのような対応を取るべきか迷う可能性がある。

このことから、日常的な健康状態を記録し、過去の状態と比較できる機能に加え、異常の可能性に気づくための情報提供が必要であると考えられる。ただし、アプリによる通知だけで病気を診断することはできないため、必要に応じて専門家や動物病院へ相談できる仕組みも重要となる。

(2)飼育情報の収集に関する課題

飼育者は、飼育方法や健康管理に関する情報をインターネット上の複数のサービスから収集している。しかし、情報がさまざまな場所に分散しているため、必要な情報を効率的に探すことが難しいという問題がある。

また、同じ動物について異なる説明が掲載されている場合、どの情報を参考にすればよいのか判断しにくい。特に初心者は、情報の信頼性や、自分が飼育している動物に適した内容かどうかを判断することが難しいと考えられる。

そのため、動物の種類に応じた飼育知識を整理し、必要なときに確認できる仕組みが求められる。情報を提示する際には、内容の分かりやすさだけでなく、情報源や適用対象を明確にすることも重要である。

(3)日常的な管理と記録に関する課題

日常的な飼育では、給餌や清掃などの作業に加え、温度や湿度の確認、健康状態の記録など、複数の管理項目を継続する必要がある。

しかし、これらを個人の記憶や手作業に頼る場合、記録が不定期になったり、必要な作業を忘れたりする可能性がある。また、過去の記録を簡単に確認できなければ、環境や健康状態の変化を把握することも難しくなる。

この課題に対しては、給餌や清掃などの予定を管理するリマインダー機能と、温度・湿度や健康状態を記録する機能を組み合わせることが有効であると考えられる。

(4)アプリに求められる支援

以上のインタビュー内容から、飼育者が求める支援は、主に「必要な情報を探しやすくすること」「日常的な管理を継続しやすくすること」「ペットの状態を把握しやすくすること」の三つに整理できる。

また、同じ種類のペットを飼育する人との交流や、困ったときに相談できる環境も重要である。こうした意見を踏まえると、本研究で提案するアプリには、飼育知識の提供、健康記録、環境モニタリング、リマインダー、コミュニティ、動物病院の検索などの機能を設けることが考えられる。

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3.3.2 爬虫類専門店経営者へのインタビュー調査

飼育者の課題を専門的な立場から把握するため、2026年8月19日に、中国海南省海口市にある「阿泽的爬宠乐园(国贸店)」の経営者にインタビューを実施した。

インタビューでは、初心者から寄せられる質問、飼育環境の管理、健康上の問題、飼育情報の収集方法、飼育者に必要な支援などについて聞き取りを行った。

(1)初心者が抱える飼育上の問題

専門店経営者へのインタビューから、飼育を始めたばかりの人は、温度や湿度の設定、餌の種類や給餌量、給餌の頻度、飼育ケースの環境づくりなどについて疑問を持つことが多いことが分かった。

これらの項目は、動物の種類や成長段階、飼育環境などによって必要な条件が異なる。そのため、一般的な飼育情報を読むだけでは、自分が飼育している動物に適した管理方法を判断できない場合がある。

このことから、初心者が必要な知識を段階的に理解できるガイド機能や、動物の種類に応じて飼育条件を確認できる仕組みが重要であると考えられる。

(2)飼育環境と健康状態の関係

インタビューでは、動物に異常が見られた場合、その原因が病気なのか、温度や湿度などの飼育環境にあるのかを判断することが難しいという問題も挙げられた。

エキゾチックアニマルの健康状態を理解するためには、動物の様子だけでなく、飼育環境や日常的な管理状況も確認する必要がある。そのため、環境データと健康記録を関連づけて確認できる仕組みは、飼育者が状態の変化を把握するうえで役立つと考えられる。

例えば、温度や湿度の推移を確認できれば、飼育者は環境の変化を把握しやすくなる。また、給餌状況や食欲などの記録を残すことで、過去の状態との比較もしやすくなる。

ただし、環境データだけで健康状態を判断することはできない。アプリでは、飼育環境の確認を支援するとともに、異常が疑われる場合には専門家や動物病院への相談を促すことが重要である。

(3)飼育情報の分散と信頼性

飼育者は、小紅書(RED)、抖音、百度贴吧、WeChatのグループなど、さまざまなオンラインサービスを利用して情報を収集している。しかし、情報が複数の場所に分散しており、内容の信頼性を判断することも容易ではない。

特に初心者にとっては、情報を見つけること自体に時間がかかるだけでなく、異なる情報を比較し、自分の飼育環境に適した方法を選択することも難しい。

この課題に対して、アプリ内で動物の種類に応じた飼育情報を整理し、必要な情報へアクセスしやすくすることが有効であると考えられる。情報の出典や更新時期を示すことも、利用者が情報を判断するための手がかりとなる。

(4)専門店経営者の視点から見た必要な機能

専門店経営者へのインタビューを通じて、初心者向けの飼育ガイド、温度・湿度の確認、健康記録、異常通知などの機能が重要であることが示唆された。また、カメラによって離れた場所から飼育環境を確認できる機能についても、利用価値があると考えられる。

一方で、カメラやセンサーなどの機器を導入する場合には、費用面も考慮する必要がある。そのため、アプリの基本機能と、将来的に追加できる機器連携機能を分けて設計することが考えられる。

これにより、特別な機器を持っていない飼育者でも基本的な管理機能を利用でき、必要に応じて環境モニタリングなどの機能を拡張できる構成を目指すことができる。

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3.3.3 インタビュー調査のまとめ

飼育者へのインタビューと専門店経営者へのインタビューを比較すると、健康状態の判断、飼育環境の管理、情報収集の難しさという点で共通する課題が確認された。

飼育者の視点からは、日常的な管理を続ける負担や、必要な情報を探す難しさが重視されていた。一方、専門店経営者の視点からは、初心者が飼育の基本的な知識を十分に理解できていないことや、飼育環境と健康状態の関係を判断しにくいことが指摘された。

両者の意見から、エキゾチックアニマルの飼育支援では、単に情報を提供するだけでなく、飼育者が情報を理解し、日常的な管理に活用できるようにすることが重要であると考えられる。

したがって、本研究では、飼育知識の整理、環境モニタリング、健康記録、異常通知、リマインダー、動物病院の検索などを中心に、飼育者の負担を軽減するUI・UXを検討する。