#author("2026-08-20T20:00:45+09:00;2026-08-06T16:18:02+09:00","default:member","member") #author("2026-08-20T20:22:17+09:00","default:member","member") *自殺学について [[木村羽衣]] ~ &scale(90){★ ここは自分の興味のある「自殺学」について、私の実体験も踏まえて自身の考えなどを説いています。読んでいて不快になった場合は、途中で閲覧を中止し、ページを閉じていただければ幸いです。}; &scale(90){ ★ ここは自分の興味のある「自殺学」について、私の実体験も踏まえて自身の考えなどを説いています。読んでいて不快になった場合は、途中で閲覧を中止し、ページを閉じていただければ幸いです。}; ~ ~ ~ ** 1.自殺学との出会い 私は中学1年生の夏休み明けから卒業するまで、不登校を経験しました。 ですが、全く登校しなくなった訳ではありませんでした。それは、私のことを応援してくれる家族や、学校で私のことを待ってくれている友達や先生方が居たからです。 しかしそれでも、学校へ行けない日が続くと、周囲に対する罪悪感と自分自身に対する嫌悪感は増すばかりでした。 やがてご飯も喉を通らなくなり、人生で初めて「自殺」について真面目に考えた時期だったと、今振り返ると思っています。 ~ 自分に対する嫌悪感から「自殺」に対する強い興味はありましたが、ただ感情的に「死にたい」と溺れることはありませんでした。 インターネットの海を泳げば、自分と同じように死にたがっている人は山ほどいるのに、どうして私の近くには一人もいないように感じるのか、と不思議だったのです。 「人はなぜ死にたいと思うのだろう?」「そもそも自殺はいけないことなのだろうか?」と、自問自答を繰り返すようになりました。 ~ その疑問の延長線上で大学進学を考えた際に、哲学や心理学、社会学などに興味を持ち調べていくうちに「自殺学」という学問と出会いました。 これが、私の自殺学の原点です。 ~ ~ **2.そもそも「自殺学」とは? 自殺学とは、人が自ら命を絶つという現象についてその原因を解明し、心理学、社会学、生物学的、精神医学、哲学、歴史学など、多角的な視点から科学的に研究する学問領域です。 (分かりやすく言うと…遺書の分析・自殺者の心理・精神疾患・経済状況など) ~ 一般的に「自殺」は、個人の心の弱さや、突発的な精神状態によるものと片付けられがちです。 単に「死なないためにはどうすべきか」という予防の視点だけでなく、「人はなぜ自殺をするのか」「目の前の苦しい人をどう救うのか」という、人間の心理や自殺の根底にある問いに迫る学問、それが自殺学だと私は考えています。 ~ -[[自殺学(Wikipediaより)>https://ja.wikipedia.org/wiki/自殺学]] ~ ~ **3.おすすめしたい著者・本 私がこの学問の中で特に支持している研究者がいます。 その方の名は、末木新(すえきはじめ)です。 彼は和光大学(現代人間学部 心理教育学科)の教授であり、全学生が受けられる共通教養講座として「自殺学」を教えています。 多くの自殺予防の専門家や世の中の人々は、「生きていれば必ず良いことがある」「自分の命を大切にしよう」「周りに悩みを打ち明けよう」といった道徳論や綺麗事を語りがちです。しかし彼は、そうした安易なアプローチを明確に否定しています。 ~ 彼は臨床心理学をベースにしながら、インターネット上の自殺コミュニティやSNSの「死にたい」という書き込みなど、普通ならスルーされてしまうような生々しい声を長年研究しています。だからこそ、「死にたいと思うのはその人が弱いからではなく、そう思わざるを得ない構造があるからだ」という、広い客観性と冷徹な視点を持っています。 ~ 著書である『「死にたい」と言われたら—自殺の心理学』は、新書ではなく、そうした感情の現場に向き合い続けてきた彼だからこそ書ける、リアルで圧倒的に面白い一冊です。また、中高生でも読みやすく、専門用語には解説が付いており難しい言葉も噛み砕いた表現で書かれているため、本が苦手な人でも理解しやすいと思います。 ~ -[[「死にたい」と言われたら—自殺の心理学(ちくまプリマー新書) >https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480684530/]] ~ ~ **4.自殺学を通して見えてきたもの 名前のインパクトこそ強い自殺学ですが、鬱々しい学問ではありません。 かつての私のように「どこにも逃げ場がない」と絶望している人に対して、社会の側にどうやって新しい逃げ場やセーフティネットを設計できるのか。本や学問を通して私が見出したいちばんの答えは、「死にたい」という感情は決して特別ものではなく、社会の構造によって当事者の「逃げ場」と「声」が完全に奪われた結果だということです。 ~ ***「人口の2〜3割が経験する身近な感情」 本の中で、「死にたい」という気持ちは決して異常なことではなく、人口の2〜3割が人生で一度は経験する身近なものであることが示されています。 インターネットの海には、自分と同じように死にたがっている人が無数に溢れているのに身近な人から「死にたい」が見えないのは、社会がそれを「あってはならないタブー」として隠蔽しているからだと感じています。(身近な人ほど本音は打ち明けづらいですが、自殺願望を公にするのはSNS内か親しい関係の間でしかあり得ないと考えたためです。) 統計を見れば人口の2〜3割が経験しているはずの身近な感情なのに、「命を大切にしよう」「生きていれば良いことがある」という綺麗事ばかりが私達を包んでいる。その道徳論の美しさが、当事者に現実世界で声を上げることを封じ、結果として自殺へ追い込んでしまうのだと気づきました。 ~ 社会は良かれと思って「学校」や「日常」という枠組みに引き戻そうとします。しかし、その善意こそが、逃げ場を失った人間にとっては「自分は周囲の重荷になっている」という、負担感の知覚を増幅させる凶器になり得ます。 だからこそ、末木さんがSNSの生々しい叫びをスルーせず、感情論を排除して客観的なデータとして冷静に見つめる姿勢に私は感動しました。「かわいそうに」と情緒的に共感されることや、綺麗事で励まされることは、本質的な解決になりません。「なぜ死にたくなるのか」という構造を冷徹に解剖しそのリスクを減らしていく取り組みこそが、本当に人を絶望から引き留める手段なのだと学びました。 ~ あの時に抱いた「なぜこれほど多くの人が苦しんでいるのに、現実の世界ではいないように見えるのだろう」という強い違和感の正体が、末木さんの本を読むことでようやく言語化できました。 ~ いつか、私が中学生の頃と同じように悩んでいる人と出会ったら『「死にたい」と言われたら』を元に、当時の私に寄り添うように、その気持ちと向かい合うことができたら…と、そう願っています。 ~ ~ ~ #setheadercolor(white,"linear-gradient(90deg,#FFFFFF,#ADDBFF)",0.6) #setbgcolor(#FFFFFF) #settextcolor(#11100E)